さとうハートクリニック

岡山市 循環器内科 ハートクリニック 心臓病 高血圧 糖尿病

〒700-0941 岡山県岡山市北区青江1-22-23
TEL:086-232-0810(ハート)

診療案内

心臓病について

心臓は体全体に酸素を含んだ血液を送り出すポンプの役目を果たしています。その機能が衰えると命に直結してくる可能性があるのは容易に想像できるでしょう。

まず病気についてご紹介する前に、一番大事な治療についてですが、心臓病に関しては、実は共通するものが多いのです。大事なのは以下の3項目です。
高血圧症
① 内服薬:β遮断薬、ACE(Angiotensin Converting Enzyme) 阻害薬、ARB(Angiotensin Ⅱ type 1 Receptor Blocker)と呼ばれる3剤によるコントロールが基本となります。もちろん、各病態に応じて追加あるいは、中止されていきます。これに利尿剤、その他の血管拡張薬などを考慮します。服薬アドヒアランスと言って、いかに飲み忘れをなくすかが大事となります。それには自分が服用している薬に興味を持つことが大切です。お薬手帳は必ず持ちましょう。お薬カレンダーや薬整理ケースの活用も有用です。服用する時間帯でひとまとめにする分包を薬局で依頼するのも良いでしょう。

② 減塩食:日本人の摂取塩分量が多いのはよく知られています。減塩醤油などを積極的に利用しましょう。減塩のコツとしては、食べ物に醤油、ソースを直接かけるのではなくて、小皿に別にとってそれにつけて食べるようにしましょう。また、だしの味をしっかりきかせる、酸味をつければ薄味でもおいしい、アクセントに食感や香ばしさを利用する、スパイスやハーブを利用するなどいろいろな工夫があります。

③ 運動:適度な運動によって酸素の取り込みがよくなり、運動能力が増加し、楽に動けるようになり、気持ちよく汗をかくことによって不安やうつから解放され、自覚症状も軽くなることが知られています。後述する生活習慣病の危険因子(血圧、血糖など)が低下する効果もあります。適度な運動とは、1日30分程度のウォーキングが基本です。週4日程度は習慣とすることが大事です。サイクリング、卓球、ミニテニスも良いです。歯をくいしばるような運動、息を止める運動、筋力トレーニングなどは逆効果ですから、注意しましょう。

さて、それでは種々の心臓病についてご紹介しましょう。

1.心不全

疾患ではなくて病態を表す言葉なので、少し理解しがたい部分があります。最近日本循環器学会は、「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です」と定義しました。種々の原因で心臓のポンプ機能が衰えた状態と理解してください。学会では、心不全をよく理解して頂くために、忍者ハットリシンゾウ君をイメージキャラクターに決めました。学会代表理事の挨拶にも、「私くらいの年代ですとテレビドラマで、若い方はテレビアニメで忍者ハットリ君を見た方も多いと思いますが、主人公ハットリカンゾウの弟がハットリシンゾウです。」と紹介されています。今後どんなに日本で患者数が増えて、学会を挙げてその啓蒙活動に如何に力が入っているかおわかりでしょう。日本には約100万人の心不全患者さんがいると言われ、その入院患者数は循環器疾患診療実態調査によれば、年間約20万人であり、現在も増え続けており、2025年問題に代表される超高齢化社会を迎えてもしばらくは増加していくことが予想されています。

原因
虚血性心疾患、弁膜症、心筋症、心肥大、伝導障害、不整脈、心膜炎、心筋炎、高血圧、糖尿病など循環器のいずれの疾患でも起こりえます。
発症するきっかけ
感冒など感染症、過労、水分塩分の過剰摂取、アルコール多飲を含む暴飲暴食、ストレスなど。つまり、上記の原因疾患を持っている方にきっかけが生じると心不全となる訳です。
症状
息切れ、呼吸困難、食欲減退、体全体特に下肢のむくみ、尿量減少など
経過、治療
一度急性心不全を発症しても、入院加療すれば回復できることが多いです。しかし、元の状態のレベルまで回復するのは困難で、入院を繰り返すたびに徐々に悪くなっていき、入院の間隔が短縮していくことが多いです。そうならず、人生のQOL(生活の質)を維持するためには、前述した、ちゃんと薬を服用する、減塩食、運動が大切となります。

2.虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)

一番よく聞かれる病気の一つです。動脈硬化と言われる血管の内腔が狭くなる状態のために起こります。

原因
高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、高尿酸血症、イライラする性格、家族歴など。あまり運動せず、体重が増加していくなど好ましくない生活習慣を継続していると、これら危険因子となる病気になり、動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞になる、いわゆる病気のドミノ倒しで起こります。動脈硬化が進んでいっても症状がない時期が長く、高血圧や糖尿病などはサイレントキラーと呼ばれており、普段のコントロールが大切となります。多くの疫学的研究からは、その他の動脈硬化進展の危険因子として、年齢、男性、慢性腎疾患、睡眠時無呼吸症候群、末梢動脈性疾患などが報告されています。
発症するきっかけ
寒冷、寒暖差の大きいところの出入り、ストレス、過労、血圧や血糖値の放置など。
症状
数分間から数十分間継続する胸痛(左胸全体の絞扼感)、呼吸困難、下顎痛、左肩や左上腕への放散痛、労作時に比較的短時間で生じるのが狭心症。労作、安静に無関係に程度が激烈で長時間継続するのが心筋梗塞のことが多いです。もちろん例外もあります。
経過、治療
私が長年携わってきたカテーテル治療の良い適応です。カテーテル治療約8か月後に再度カテーテル検査で再狭窄がないのを確認できれば、ひとまずその治療部位は完治と考えます。オーストラリア留学中は、たった1年間でカテーテル検査を1000例、うち治療を400例経験しました。風船だけでなく、再狭窄予防のお薬を塗ったステントと言われる金属の筒を冠動脈内に挿入して、きれいに拡張します。ステントの成績も随分よくなりました。ステント挿入後、8か月から1年間は血栓症予防のため、抗血小板剤と呼ばれる血液をさらさらにするお薬を2剤服用しないといけません。この投与期間は短縮の方向にあります。特に、後述する心房細動という不整脈を伴っている場合は、抗凝固剤という別の種類のさらさら薬を加えて計3剤服用しないといけません。当然出血性合併症が危惧され、世界的に見ても、各学会においてこの投与期間の短縮に向けて、毎年のようにガイドラインを訂正しています。狭心症では、命の危険まではまずありませんが、心筋梗塞はまだ、突然死の原因疾患の代表例であり、入院治療後も前述の3つの治療が大切です。

3.生活習慣病

ここでは、時に心臓病と関連の深い高血圧、脂質異常症、糖尿病に触れます。

  1. 高血圧
    血圧とは、血管の中を血液が流れる時に血管壁を押し広げようとする圧力のことです。アメリカ、ヨーロッパ、本邦などそれぞれでその定義、治療方針などが定期的に検討され改定されていますが、概ね140/90mmHg以下を目標と考えましょう。
     
    原因
    9割方がいわゆる本態性高血圧といって、明らかな原因が特定されていません。しかし、言えることは前述の狭心症など動脈硬化病の原因と重複することが多いです。
    症状
    前述のサイレンキラーと呼ばれているとおり、無症状のことが多いです。ですから、普段から意識して、高い場合には放置せず、コントロールすることが大切となります。
    経過、治療
    放置しておくと、久山町研究という日本の有名な臨床研究によれば、高ければ高いほど、脳梗塞の発症率が高くなることが示されました。他にも多くの研究があり、動脈硬化に基づく脳梗塞、心筋梗塞の発症率を高めることが知られています。5年後10年後の自分の健康のため、人生のQOL(生活の質)を維持するために、ちゃんとコントロールすることが大切です。原則は前述の如くですが、内服薬には作用機序の異なる多くの種類のものがあります。合併症によって使っていく順序も異なっています。内服薬の多い方程、専門医の診察が推奨されます。
     
  2. 脂質異常症
    最新の日本動脈硬化学会が示したガイドラインによれば、脂質異常症の診断基準は、1) LDLコレステロール 140 mg/dl以上 2) HDL コレステロール 40 mg/dl未満 3) 中性脂肪 150 mg/dl 以上 4) non-HDL コレステロール 170 mg/dl以上 です。
     
    原因
    遺伝的素因、過食、運動不足、動物性脂肪(飽和脂肪酸)の過剰摂取、肥満などが知られています。動脈硬化の危険因子は概ね似かよっているのがお分かりになるでしょう。
    症状
    脂質異常症に特異的な症状はありません。高血圧と同様ですね。
    経過、治療
    米国フラミンガム研究をはじめ、日本人を対象とした研究においても、LDLコレステロール、HDLコレステロール低下、中性脂肪はそれぞれ、冠動脈疾患の発症、死亡、脳梗塞の発症、などと関連があることが報告されています。二次予防(一度、心臓疾患や脳血管疾患に罹患した方が二度目以降を起こさないようにすること)にはもちろん、一次予防にも積極的な内服治療が推奨されています。スタチンというお薬が代表的です。高血圧の欄でも述べましたが、この適応については、アメリカ、カナダ、イギリス、ヨーロッパの各学会でそれぞれ異なるものが示されています。スタチンの種類も多く、適切な種類の服用が大切です。
     
  3. 糖尿病
     
    原因
    以下に当てはまる方は糖尿病のスクリーニング検査が推奨されています。肥満(BMI25以上)があって、以下の危険因子をお持ちの方。運動不足、糖尿病の家族歴、妊娠糖尿の既往、高血圧、脂質異常症、大血管症(狭心症、心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈性疾患)の既往。つまり、それぞれの危険因子がお互いに影響しあって益々危険になっていくことがおわかりでしょう。
    症状
    全身倦怠感など非特異的なものが多いです。神経障害を合併している場合は狭心症でも痛みを感じないことがあり、定期的なチェックが推奨されます。
    経過、治療
    虚血性心疾患を合併している場合は、発見された時にすでに相当進行していることもよく経験します。無症状でも定期的な検査を要します。また、多くの合併症を生じることも知られており、細小血管症としては、網膜症、腎症、神経障害など、大血管症としては前述の各疾患があります。いずれも動脈硬化が進行して生じるものが多く、普段の管理が如何に大切かがよくわかります。内服薬には多くの種類があり、病状、合併症などによって使い方のコツがあります。それでもコントロール不良となれば、インスリンの注射が推奨されます。

4.不整脈

多くの不整脈がありますので、ここでは代表的なもののみご紹介します。正常の心拍数は60-100/分です。

  1. 徐脈性不整脈
    病的な徐脈性不整脈は50/分以下をいうことが多いです。
     
    原因
    代表的なものに洞機能不全症候群と房室ブロックがあります。前者は洞結節という心臓の歩調どり(定期的な心拍数を維持する機能)をするところの機能低下で起こります。後者は心房と心室という心臓の上と下の部屋の間の電気刺激がうまく伝わらなくなるために生じます。虚血性心疾患、心筋症、心筋炎あるいは内服薬の影響で生じることもありますが、多くは加齢に伴って生じます。
    症状
    めまい、立ちくらみ、失神、あるいは、心不全を合併すれば労作時息切れ、疲労感、下腿浮腫などがあります。
    経過、治療
    明らかな原因がある場合は、それを取り除けば改善します。多くの場合、ペースメーカー手術の適応となります。私は数百例の経験がありますが、比較的安全に施行できます。専門施設をご紹介しますので、いつでもご相談ください。また、挿入術後の管理もさせて頂きます。
     
  2. 頻脈性不整脈
     
    原因
    発作性上室性頻拍症、心房粗動、心房細動、など多くの種類があります。ストレスなどで起こる一過性のものから、虚血性心疾患、弁膜症、甲状腺機能異常など基礎となる疾患が存在する場合もあります。それぞれに内服薬、点滴注射薬、電気ショックなど適切な治療法が選択されます。
    症状
    突然始まり突然終わる動悸発作。めまい、息切れ。心不全を合併した場合は前記の症状が出現します。
    経過、治療
    発作性の場合は、注射薬などで回復することが多いです。慢性的な場合は、脈の乱れはそのままにして心拍数をコントロールすることもあります。その場合、脳梗塞予防のため前述の血液さらさら薬を服用します。従来のワルファリンから最近の直接的抗凝固薬(DOAC)まで種々の薬があります。専門知識をもった医師による併存疾患による使い分けが必要です。

5.末梢性血管疾患

  1. 動脈
    閉塞性動脈硬化症がよくみられる疾患です。
     
    原因
    上記の高血圧、脂質異常症、糖尿病などの動脈硬化をおこしやすい方に多くみられます。下肢に多く、動脈の内側が狭く細くなって生じます。血圧脈波検査で診断できます。
    症状
    歩行中に下肢の痛みやしびれで歩けなくなる間欠性跛行を認めます。重症の糖尿病の方では、足趾が壊死を起こして黒く変色することもあります。
    経過、治療
    血管拡張剤、抗血小板剤などを使います。狭窄度が高度であれば、心臓の冠動脈の同様に風船やステントで拡張して治療することもあります。
     
  2. 静脈
    深部静脈血栓症やそれに伴う血栓性静脈炎が代表的です。
     
    原因
    手術、外傷、妊娠、長期臥床、長時間の座位の仕事、などに伴って発症することが多いです。エコノミークラス症候群はよく知られており、長時間同じ姿勢で座って動かないと、生じる危険が増します。血栓ができて、それに感染を伴うと発熱、疼痛などが生じ、血栓性静脈炎となります。
    症状
    下肢の腫脹と緊満感。程度の差はありますが、徐々に下肢の紅潮、熱感、表面の静脈の拡張などを伴います。いずれにせよ、下肢の腫れは心臓血管系の疾患のことが多く、専門医を受診しましょう。
    経過、治療
    下肢を挙げる時間を増やしましょう。お薬は抗凝固薬が中心となります。感染症の程度がひどければ抗生剤を併用します。血栓が肺に移動すると肺血栓塞栓症となり、重篤な状態になることがあります。その危険が大きい時は下大静脈内(体の中の太い静脈)にフィルターを留置することもあります。

6.睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に呼吸が止まってしまうことにより、酸素濃度が低下してしまう状態です。

原因
のどの奥の脂肪、顔の骨格、扁桃肥大などが原因となります。
発症するきっかけ
寒冷、寒暖差の大きいところの出入り、ストレス、過労、血圧や血糖値の放置など。
症状
大きなイビキをかく、睡眠中息が止まっていたとご家族に指摘されたことがある、昼間眠くなる(車の運転中や仕事中など)、朝起きた時に疲れが残っていたり、頭が重い感じがある、などです。最近、高血圧、心不全、不整脈など多くの循環器の病気との関連があることが報告され、注目されています。簡易型の睡眠評価装置を一晩つけるだけで、評価できます。
経過、治療
夜間の無呼吸や低呼吸の回数により、CPAP(持続陽圧呼吸)と言われる治療をします。酸素マスクのようなものを鼻や口にあてて、夜間空気を送り込み気道を拡張するものです。検査所見は当日から劇的に改善する方が多いです。